あぼいどのーと

インターネット初心者

「ミルクセーキ」の思い出

 僕の地元は長崎なのだが、長崎名物の一つに「ミルクセーキ」というのがあって、それなりに有名な?飲み物なので知ってるとか飲んだことあるという人も多いと思う。名前に「ミルク」と付く通り牛乳メインの飲み物で、「セーキ」というのは「シェイク」のなまりなので、まあマックシェイク的なものをイメージしてもらえればよい。

 で、僕が子供の頃は家でもミルクセーキを作ったりしていて、その時のレシピはだいたい、

 ①氷、牛乳、バニラアイス、卵をミキサーにぶちこむ

 ②混ぜる

 ③グラスに盛っててっぺんにさくらんぼを乗せる

という感じだった。氷を多めに入れるのがポイントで、液体と言うよりは半固形状のかき氷タイプであり、どちらかといえばシャーベとかそういうタイプのデザートというイメージだった。

 

 そんなイメージを抱えたままでいたある日、地元のどっかの自動販売機でその名も「ミルクセーキ」という缶入りのドリンクが売られているのを目にした。僕は、「おー、あのミルクセーキが自販機で売られてる!」と思って興味半分で買って飲んだ。

 味自体はたしかにミルクセーキであり、美味しくいただいたのだが、僕の知っているミルクセーキは先述したように「かき氷状」のものである。だから、この缶入りのミルクセーキに対しては「ああ、自販機でかき氷は売れないから仕方なく液状に溶かして売ってるんだろうな」という思いでいた。味噌汁とかおしるこのような、ちょっと変わり種のドリンクなんだろうな、と思っていた。

 

 しかし! 大人になっていろいろな情報を摂取するにつれ、どうやら僕の持っていたミルクセーキのイメージは一面的なものでしかなく、むしろあの缶入りのミルクセーキよろしい「完全に液状のミルクセーキ」というのが割と一般的に受け入れられているらしいという事実を知ったときには、軽いカルチャーショックを受けた。

 現に、たとえばクックパッドで「ミルクセーキ」と検索すると、牛乳と卵黄とバニラエッセンスと砂糖を混ぜただけの完全にリキッドなレシピが多数ヒットする。あげく「ホットミルクセーキ」なんてものも引っかかる。なんということだ……。

 

 ミルクセーキといえば、コラムニストの能町みね子さんがミルクセーキ好きで知られていて、ミルクセーキの本も書いているほどなのだが、そこで紹介されているのにも「液状ミルクセーキ」が結構ある。「ミルクセーキといえばかき氷タイプ!!」という僕のイメージは、軽々と打ち破られるのである。

 

 結局僕はミルクセーキに関して井の中の蛙だったのだ。僕が慣れ親しんだ長崎のミルクセーキは、あくまでも「長崎のミルクセーキ」でしかなく、その外にもミルクセーキの世界は広がりまくっていたのだ。調べてみたら長崎のものは「食べるミルクセーキ」などとも呼ばれていて、むしろちょっと異端児扱いされていたりもする。う~ん、ミルクセーキといえば「スプーンで食べるもの」だったはずなんだけど……。

 

 まあ、正しいミルクセーキを主張したいわけでは毛頭ない。いろいろなミルクセーキがあっていいのだ。しかし、僕の思い出の中のミルクセーキはあくまでも「食べるもの」であり、ドリンクと言うよりはれっきとしたデザートだった。その思い出を書き記しておいたところで、今日のところは終わりにする。アデュー!!!!!